コインゲームのルールはこうでした。
「表、裏を当てるコインゲームで当たったときは賭け金の2倍の利益、外れたときは賭け金分だけの損失ということにします。
持ち金100万円から始めて、賭け金は持ち金に対して一定の割合でかけていきます。4万円を切ったところで破産、ということとします。」
「持ち金100万円から始めて、賭け金は持ち金に対して一定の割合」ではなく、「とにかく1万円ずつ」だったら、当たったら2万円の利益、外れたら1万円の損失ですから、2歩進んで1歩下がる感じて、どんどん利益が増えていきます(もちろんハズレが何回か続くこともあるでしょうが、確率的には五分五分ですので・・)。20回コインを投げれば平均的に10万円増えることになります。
2万円ずつだったら20回コインを投げれば、平均的に20万円。3万円だったら・・30万円。と、賭け金を上げるごとに利益はどんどん増えていきます。
当たり前のことですが、何だか凄いですよね。それだけ、「当たったときは掛け金の2倍の利益、外れたときは掛け金分だけの損失」というルールがいかに有利か、ということですね。
これだけ読んだら、賭け金が多ければ多いほど良さそうな感じさえしてきます。
「持ち金100万円から始めて、賭け金は持ち金に対して一定の割合」となったとき、いったい何が起きていたのか、詳しく見ていきましょう。
話を単純にするために、1回当たって1回外れたときの資金の増減を見てみましょう
「1回目当たって、2回目外れ」の場合も「1回目外れ、2回目当たり」の場合も、賭け金の割合が50%を超えてくると、利益よりも損失額の方が多くなってきます。
投資で考えれば
全体の損益=利益の平均値×勝率-損失の平均値×負ける率-手数料 がマイナスになると言うことですね。
賭け金の割合が高くなって行くほど、外れたときのダメージが大きいことがよく分かります。
利益の出ている50%より少ない賭け金の場合で、40%と10%が同じ利益になっています。
リスクマネージメントの立場からしたら、「だったら10パーセントで行こう」と考えるべきですね。
50%より下の場合の利益を見ると、「少ない」感じがしませんか?
賭け金が少ないのですから、当然、少ないのですが、このルールのままゲームを続けていけば、どんどん利益は増えていくことになります。
商品先物取引で、長期的に利益を増やすには、「ハイリスク、ハイリターン」ではなく「少ない利益を積み上げていく」という感覚が大切なんでしょうね。
ところで、賭け金の割合90%の人は最初90万円の賭け金だったわけですが、90万円だから悪かったのではありません。90%だったから悪かったわけです。もし、持ち金1,000万円だったら、この90万円も安全な賭け金と言うことになります。
逆に、最初10万円の賭け金だった、賭け金の割合10%の人も、元々の持ち金が少なければ、賭け金の割合としては高くなるわけですから、リスクの高いゲームになってしまうわけです。
個人投資家が、商品先物取引で不利になりやすいのは、資金の少なさから、必然的に建玉証拠金の資金に対する割合が高くなりやすい、と言うことも関係有りそうですね。